今も心には

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皆さんは幻聴を聞いたことがありますか?

 

私はあります。

 

こう書くと何かヤバい奴みたいですね。

 

順を追って話しましょう。

 

 

私は実家で数年前まで犬を飼っていました。

 

14歳で息を引き取りました。

 

名を「くるり」と言います。

 

私が中学生の頃、知人のところで子犬が産まれたというのでもらってきたのです。

 

くるりは最初から人懐っこく、あっという間に家族の一員になりました。

 

はじめは本当に小さく、登利平のお弁当箱、あの中にすっぽりと入ってしまうほどでした。

 

くるりを飼って教えてもらった事はたくさんあります。

 

犬というのは愛情を注いだ分だけ返してくれること、犬にも笑顔があること、飼い主に似ること。

 

彼女は家族に対しては完全に無防備で、他人には気を許さない性格でした。

 

そして寂しがり屋でした。

 

庭で放し飼いをしていたのですが、お腹が空いたり、構って欲しくなったりすると、伸びあがって家のガラス窓をたたくのです。

 

爪の音が「カリカリ」と。

 

 

 

 

 

彼女は晩年、白内障になり他の病気にもなってしまいました。

 

少しでも長生きしてほしいと両親は多額の手術費を躊躇なく支払いました。

 

私はそんな両親を誇りに思っています。

 

そのおかげで一命はとりとめたものの、晩年はすっかり元気をなくしてしまいました。

 

庭に私が行くと「キャンキャン」と私に飛びついていたものがほとんど無反応になってしまいました。

 

 

いよいよ足腰が立たなくなり、最期が近いと知らせを受け、実家に向かいました。

 

家の中で寝ていたくるりをなでてやると、子犬の頃のように「クーン」と甘えた声を出しました。

 

力を振り絞って甘えてくれたのかもしれません。

 

翌朝、彼女は息を引き取りました。

 

 

GW中、実家に帰りました。

 

すると聞こえるはずのない音が聞こえてくるのです。

 

窓を「カリカリ」とたたく音が。

 

庭を駆け回るくるりの足音が。

 

 

優しく切ない幻聴が聞こえたGW中の出来事でした。

 

 

 

 

 

 

ステップ個別指導学院 総社・吉岡校  小西