「もっと優しい世界だったらな」
そんなことを思いました。
村田沙耶香 『コンビニ人間』を読んでの素直な感想です。
高3生が入試の小論文で問われる可能性があるということで、読む機会があったのです。
主人公は幼いころから「普通」というものが分からない人でした。
公園で鳥が死んでいるのを見て、からあげにすればお父さんが喜ぶ、と考えてしまったり、
ヒステリックになっている女教師を止めるため、スカートとパンツをおろしてしまったり、
犯罪ではないものの、周りから見れば人のことが考えられない「異常」に映ってしまうのです。
そんな彼女がコンビニのバイトで「普通」を見出します。
マニュアルにのっとって働いていれば、それが「普通」になるからです。
そして彼女とは毛色が違うものの、同じく世間の「普通」に疑問を持つ男がやってきて・・・
という物語です。
今年の芥川賞受賞作ですが、現代らしい小説だなという感想を持ちました。
2、30年前であれば評価されていなかった、いえ、理解されなかったかも知れません。
というのも現代の日本ほど、何かの「枠」からはみ出ることに対して不寛容な社会はないと思うからです。
テレビや雑誌は連日のように流行を特集し、その流行に乗らなければ奇異の目で見られ、
少しでも人と違う考えを持つだけで、ネット上で糾弾されてしまいます。
みんな違っていいのだと、とある詩人は言いましたが、
悲しいことに、この金言も今は力をもっていないようです。
周囲から「普通ではない」と責められ、
生きづらさを感じている人は少なくないと思います。
真偽はともかく
「○○はこうあるべき」
そういった考えに必要以上に苦しめられている人も。
もしそんな人が身近にいれば、私は否定も肯定もせず、
ただ、優しくありたい、そう思いました。
・・・あ、ブログでこういうことを書くのも普通じゃないのか。
ステップ個別指導学院 総社・吉岡校 小西